難解でも重要!健康保険上の扶養のはなし

ママの働き方について。

子供が就学前までは時短勤務でそれからフルタイムになる人、夫の扶養内でパート勤務になる人など、働き方は様々だと思いますが、今回は健康保険上の扶養についてのお話です。

この「扶養」の仕組みが結構なややこしさで、理解できるまで大変でした。

色んなものが絡み合いすぎて、考えるのがしんどくなりますが、「働き損にならないようにしたいけど、収入はなるべく多く欲しいし。」
そんな方は税金上の扶養と社会保険上の扶養の違いをしっかりと理解すると自分のちょうどよい働き方が見えてくるので、がんばって理解してみましょう。

夫が自営業などで、国民健康保険の場合は「扶養」の概念がないので、それぞれが国民健康保険に加入することになります。
なのでこの投稿では夫が会社員の場合を解説していきます。

① 年間130万円以内で扶養に入れるケース

ぴったり130万円以内でなくても、今後1年間の見込みが130万円以内
(例えば10月まで働いていて、すでにその時点で年間300万円稼いでいたとしても、この先1年間の収入が130万円以下だとしたら、その時点から扶養に入ることができます。税金の1月~12月基準とは関係がありません)

月に108,333円以下かつ夫の年収の1/2以下であれば扶養に入れるところがほとんどです。

というのも、健康保険組合によってこの月の金額を一度でも超えたらダメ、3か月平均で超えたらダメなど判定が違うのです。
主に会社の総務部の方の判断になるかとは思いますが、ルールが異なることは頭に入れておいてください。

130万円の判定
【含まれる】
給料・ボーナス・手当・残業代・交通費・失業手当・育児休業給付金・傷病手当金・給与以外の収入
【含まれない】
不動産の売却利益・保険の満期金・贈与など一時的に入ってきたもの(ただし、組合の判断による)

※時限措置として2024年10月からの2年間は雇用主が一時的な収入増だと証明することで、130万円を超えても扶養にとどまれるようになっています。(最終的な判断は健康保険組合)こちらから。

② 年間106万円以上で扶養から外れるケース

パートでも下記全てに当てはまると自身で健康保険に加入しないといけなくなります。

1:会社と週に20時間以上働く契約をしている
2:時給×上記1の時間数で月に88,000円以上の収入になる
3:期間限定の雇われ方ではない(2か月以上)
4:学生ではない
5:パート先の社員が101人以上(2024年10月からは51人以上

※106万円に含まれるもの
【含まれる】会社と契約した時給×時間数による金額
【含まれない】ボーナス・残業代・たまたま予定外の勤務・通勤手当・他社の収入

そのため、年末に106万円に収めるためにシフトを調整する必要はありません。
あくまで会社と交わした雇用契約書の内容がどうなっているかで判定します。

結果的に106万円を超えていたからと言って、さかのぼって社会保険に加入することにはならないということです。

ただし、慢性的に月88,000円を超えるような働き方が続いているときは、会社からもっと減らすように調整されるか、あるいは契約を見直して社会保険に加入することになるかもしれません。
新たに加入することになる人へのシュミレーションなどはこちらのサイトで確認できます。

③ 夫の給与に家族の扶養手当がある場合の基準も確認

もし判定基準が103万円以内で年間12万円の家族手当が出る場合は115万円分働いても世帯の手取りは103万円の時と同じということです。

目先の手取りが最も多くなるところを探したくなりますが、社会保険に入ると公的な保障や老後の年金が手厚くなります。

傷病手当金や出産手当金、老後の年金の増額もメリットですね。

④今後の流れ

最近のニュースでよく耳にするのが、「社会保険の扶養の壁の見直し」。
段階的に加入者を増やす流れになっているので、今後さらに加入要件の緩和が予想されます。
働き手の不足に、社会保障費の財源不足。どう考えてもこの流れは必然です。

正社員でフルタイム働くより、短い時間でパートで働き、社会保険に加入。
副業で大きく収入を作る人が一番”おいしい”稼ぎ方になっていきます。
(このパターンだと、副業収入は社会保険料の算定対象にならないため。)

もし副業に興味がある人なら、その選択肢も賢いかと思います。