会社員として働くAさんは年末調整の記入はしていたものの、生命保険料の控除の申告しかしていませんでした。
Aさんは母親(70歳・身体障害あり)とふたりで暮らしていたため、本来は所得控除を受けることができるのにも関わらず、扶養控除・障害者控除共に未申告。
私が相談の際に源泉徴収票を見せてもらったことで今回の内容が発覚しました。
【扶養控除】
要件:同一生計配偶者以外の親族でその親族の合計所得金額が48万円以下
内容:
16歳から70歳未満=38万円(33万円)
19歳から23歳未満=63万円(45万円)
70歳以上=同居58万円(45万円)
=別居48万円(38万円)
(※65歳以上の公的年金のみなら公的年金の控除があるので158万円までは対象)
【障害者控除】
要件:本人・同一生計配偶者、扶養親族が障害者。その親族の総所得金額の合計が48万円以下。
内容:
一般障害者=27万円(26万円)
特別障害者=40万円(30万円)
同居特別障害者=75万円(53万円)(※特別障害者とは身体障害者手帳1.2級程度)
2種類の所得控除共に所得税の控除額をメインで、住民税の控除額を()内に書いてみました。
徴収元が国と地方とで違うこともあり、若干数字が違うのが計算しづらいですが、仕方ありません。
所得税は所得金額に応じて5%から45%の7段階。住民税は一律10%が納税額です。
確定申告の手続きをしてもらい、所得税・住民税と合わせて63万円ほどの還付を受けることができたと報告を受けました。
書類を提出してから入金まで所得税の還付は1か月。住民税の還付は2か月ちょっと。
確定申告のやり直しは5年分までしかさかのぼることができないので、それ以前の修正はすることができません。
今回の件で「知らない」だけでこんなにも手元に残る金額が違うのかと改めて実感しました。
Aさん曰く「誰も教えてくれなかった」
「扶養は健康保険のことだけだと思っていた」とのこと。
そう。会社の人も役所の人も「あなた、所得控除書き漏れてるよ」なんて教えてくれることはありません。
自分で調べないと誰も教えてくれません。
増税や社会保険料の負担増などばかりが目につきますが、国は大変な状況にある人には優しくしようと配慮はしているのです。
それを正しく受け取るには自分で該当するのか調べるしかありません。
15種類の所得控除、日本国民のルールブックだと思って一読することをおすすめします。
シロアリ、災害、盗難などダメージが大きいものは雑損控除に該当するかもしれません。